はじめに:アカリンダニがもたらす影響
日本蜜蜂の飼育において、アカリンダニは蜂群の健康に深刻な影響を与える寄生虫です。このダニは蜂の呼吸能力を低下させ、活動を制限し、最悪の場合は蜂群の消滅につながります。筆者が管理する巣箱でも影響が見られ、蜂数の減少に伴い育児温度の維持が課題となりました。
また、メントールを用いたアカリンダニ対策を実施するにあたり、その揮発を助ける温度管理の必要性が高まりました。今回は、ホッカイロを活用した温度管理実験の記録です。
巣箱の仕様と寸法
今回使用した巣箱は以下の仕様です。これらの寸法が温度分布やホッカイロの効果に直接影響を与えます。
- 巣箱の寸法:高さ425mm、幅240mm(内寸)、奥行き480mm(内寸)
- 布の位置:蜂群の直上に布を設置し、布の上下空間を分ける構造
- 巣枠サイズ:228mm × 239mm × 32mm(14枚収納可能)
- 巣門の幅:20mm × 6mm
巣箱の布上空間(15mm × 480mm × 240mm)と布下空間を分けることで、温度分布を効率よく制御することを目的としました。
温度管理の狙い
蜜蜂の越冬に保温は必要ないですが下記の狙いが有るためです。
1. アカリンダニ対策
メントールの揮発を促進するため、巣箱内温度を28℃以上に保つことを目指します。
2. 蜂群の育児サポート
蜂群直上の空間(布下部分)を35℃前後に保ち、幼虫育成に必要な温度条件を確保します。
ホッカイロの設置方法と実験結果
設置方法
- 使用するホッカイロ:24時間持続タイプ(平均温度40℃)を2つ
- 配置:
- 布上部分:巣箱上部空間を温め、メントールの揮発を促進
- 布下部分:蜂群直上を直接温め、育児温度を維持
下記イメージになります。
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| 布上部分 |
| [ホッカイロ1つ目] |
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| 布(綿100%) |
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| 布下部分 蜂たちのエリア |
| [ホッカイロ2つ目] |
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| 巣門 |
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温度測定結果
外気温が**6℃**の条件下で以下の温度分布が確認されました:
場所 | 温度範囲 |
---|---|
布上部分 | 38~40℃ |
布下部分(蜂群直上) | 34~36℃ |
巣門付近 | 28~30℃ |
布上にのみホッカイロを設置した場合、布下部分の温度は約30~32℃に留まりましたが、ホッカイロを2つ使用することで蜂群直上の温度を理想的な範囲に保つことが予想されます。
ホッカイロ交換時間の最適化
ホッカイロは開封後8~10時間が最も高温(平均温度の40℃)を維持します。
冷え込みが激しい朝方の時間帯をカバーするために、夜20時頃に交換するのが理想的です。
これにより、深夜から早朝にかけての温度低下を防ぎ、蜂群の保温効果が高まる予想。
実験の成果と学び
アカリンダニ対策への効果
メントールの揮発条件(28℃以上)を維持できたことで、アカリンダニ駆除の可能性が高まりました。
蜂群の育児温度確保
蜂群直上の温度を35℃前後に保つことで、幼虫育成環境の改善が期待される可能性も
巣箱仕様との連携
巣門幅や布配置の調整により、巣箱全体の温度管理が効率化されることを確認しました。
実際にやってみた時のアドバイス
- 巣門の管理:冬季は巣門幅を狭くして外気侵入を最小限に抑えます。
- 交換時間:布を通り布下えの温度影響を与える時間は数秒間程度なので速やかにホッカイロを交換する。
- 保温材の活用:巣箱を毛布やダンボールで包むと断熱効果が向上します。
- 観察の徹底:巣箱内の温度や蜂群の状況を定期的に記録しましょう。
まとめ:ホッカイロ活用の可能性
冬季は温度管理はアカリンダニ対策と日本蜜蜂飼育における課題ですが、ホッカイロは簡便かつ効果的な手段です。アカリンダニ対策や蜂群の育児支援が今後の観察でどうなっていくかが課題です。
引き続き巣箱内環境の改善に取り組んでいきます。
現状、結果として徘徊蜂は減りました。
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