こんにちは!「週末ファーム」を訪れていただきありがとうございます。
今回はフローハイブとは関係ない記事になります。
日本蜜蜂の養蜂をしていると、予期せぬ場所に巣を見つけることがあります。
その中でも特に驚きなのが「お墓」に営巣してしまうケース。
この記事では、私が経験した実例をもとに、お墓に営巣した群を保護する方法について、初心者にもわかりやすく解説します。
お墓のどこに営巣するか?
日本蜜蜂が営巣しやすいのは、お墓の「納骨室」の空間です。
お墓というと人間のための場所というイメージがありますが、蜜蜂にとっては静かで外敵から身を守れる理想的な環境です。
特に、お墓は石材でできており納骨室内は適度な温度と湿度が保たれるため、彼らの営巣条件にぴったり。納骨室あたりから飛び交う蜜蜂達が確認できます。
自然巣保護に参考にした著書
保護活動を行うにあたり、今回参考にしたのが『日本ミツバチ在来種養蜂の実態』という本です。
この著書では、日本蜜蜂の生態や行動をわかりやすく解説しているだけでなく、保護のタイミングや具体的な作業手順についても詳しく触れられています。
特に私が役立てたのは、以下のポイントです。
- 蜜蜂の群れの特徴と行動パターン
- 巣板の取り扱い方法
- バケツの水で手を洗うこと
このように実用的な情報が満載で、捕獲の他にも初心者におすすめできる一冊となっています。
保護に適した時期
お墓から蜜蜂を保護するのに適した時期は「晩秋」です。
これも参考著書からを元に実施しました。
この時期は蜜蜂の活動が比較的落ち着いており、巣の移動が容易に進みます。
今年の夏になるのですが、保護用吸引器の試運転を試みた際に、他の墓に営巣してしまった群(去年から住み着いていた群で去年の晩秋に捕獲を挑戦したが失敗。だが、そのまま住み続けていた強群)を吸引できるか試したことがありました。
その後、秋になり捕獲を試みようとした際に確認すると蜜蜂たちは一匹たりともおらず巣を置いて逃去してしまいました。
これは、蜜蜂が一番逃去しやすい時期にイタズラをしたことが原因だと考えています。
そのことから昨年の晩秋は巣板を全て撤去したのにも関わらず、そのまま住み続け尚且つ越冬もしていました。
このことから、晩秋になると蜜蜂は越冬の準備に入るため、群れを新しい巣箱に移しても比較的安定した状態を保つことができます。(逃去も起こりにくい)
保護を成功させるためには、時期選びが非常に重要です。
用意するもの
保護作業をスムーズに進めるために、事前の準備が欠かせません。
以下は、私が使用した道具一覧です。
基本道具
- 蓋付きタッパー(蜂蜜用・育児圏用)×2
2つあることにより、蜂蜜用と育児用を仕分けすることができる。 - 包丁(長短2種類)
意外かもしれないがパン切り包丁が巣板を切るには楽です
小刀はなんでも良い(著者は100円ショップの包丁。笑) - ゴム手袋
巣板を切ったときに蜂蜜で滑るのでしっかりグリップするゴム手袋がおすすめ。
ショーワグローブの手袋は自然体の手形をしているので長時間しても疲れません。 - ビーサイレント
蜜蜂を自然巣から追い出すには便利です。ハッカオイルより絶大の効果でした。 - バケツ(蓋付き)
蓋付きで丈夫なバケツ、蜂蜜がついた手を洗うのに便利。蓋があるので蜜蜂の誘引を防げます。 - ブロワー(18V)
蜜蜂にどいてもらうために重宝します(マキタ製じゃなくてもOK) - 虫取り網
柄と網部分を外せるタイプの物が使いやすいです。網の深さもそれなりにあると
蜂球を入れ込んだときに、蜜蜂が逃げにくいので慌てず作業ができる。 - 巣箱(巣板固定用巣枠)
私は、か式を改造したものを使用しましたが巣枠式で固定で巣板が固定できれば良い。
タコ糸で巣枠を一周囲い縛れば固定も可能。
補助道具
- 工作マット
回収した巣板の切り分けに便利用意した巣枠の内寸に合わせ印しておくと作業効率が上がる。 - タコ糸・爪楊枝
巣板を巣枠のなかに入れた際に、このタコ糸で縛り固定 - 自立型LEDライト
ここまで大きい必要はないが、自立できてバッテリーがそれなりに持てば何でも良い。
これも有ると無いとでは作業性が異なる - LEDヘッドライト
昼間では使用しないが、晩秋となると日没時間が早いので持っていると両手が空き作業もできるし、日没後の片付けも可能になる。 - ガムテープ
元巣に戻れないために隙間を埋めるために使用。有ると何かと便利 - 吸引機(蜜蜂捕獲用GM-2)
蜜蜂吸引道具でブロワーと組み合わせて使用。吸引力は弱いが、蜜蜂に優しい強さなのでおすすめ作り方は、こちら→https://mitubatihogo2010.web.fc2.com/GM-2.html
今回、こちらの出番はなかったです。
その他
- 手鏡
- 着替え
- ゴミ袋
- ピクニックカート
これが有ると大量の荷物を一度で運搬できるのでおすすめ。
事前にこれらを揃えておくことで、作業中に慌てることがありません。
今の時代殆どが通販で揃えることができますね。
捕獲の手順
- 巣の確認
納骨室を慎重に開け、巣の場所や蜜蜂の状態を確認します。巣板の位置や蜜蜂の動きを観察することが重要です。 - 蜜蜂の移動
ブロワーで蜜蜂たちが移動するまで風を送り、蜜蜂を一時的に巣板から離れた場所に移動させます。この際、慌てず速やかに作業を進めることで、蜜蜂を潰すこと無く作業を進めることができます。 - 巣板の切り取り
巣板を小刀で切り取り、育児圏と蜂蜜部分を分けます。事前に用意していた巣枠の大きさに記したカッティングボードに合わせてカットし、巣枠に移し固定、ない場合はタコ糸や爪楊枝で固定します。巣枠があると本当に作業が楽です。
次に「4」「5」のどちらかの作業をします。
その時の状況で判断して下さい。 - 吸引作業
吸引機を使用して蜜蜂を捕獲する場合は納骨室内の蜂を吸引する。私が使用した吸引器は「GM-2」を使用しました。 - 追い出し作業
蜜蜂たちが嫌いな匂い(ビーサイレント)を納骨室内の奥(蜜蜂がいないところ)へ噴霧。
追い出し作業が成功した場合は、全ての蜜蜂を追い出さなくても良いので、ほとんどの蜜蜂を追い出せばおそらく嬢王蜂も逃げてくる。
追い出しが成功していれば元巣があった納骨室の蓋を元に戻し、蜜蜂達が中に戻らないようにガムテープなどで隙間を埋める。
「7」へ進む - 巣箱への移動
吸引器で捕獲できたのであれば蜜蜂を新しい巣箱に移し、群れが落ち着くまで静かに見守ります。可能ならば吸引機で捕獲した群を這い上がって新しい巣箱へ入ってもらうように巣箱下から誘導すると良い。 - 蜂球の捕獲
追い出しが成功すると、元巣の近くに蜂球ができることがあります。
それをアミで捕獲し、「6」と同じように巣箱内へ這い上がるように、巣箱下から誘導する。 - 時間がない場合
巣板の切り取りに時間がかかり日没となり群を確保できない場合は2日間に分けると良い。
翌日になると蜂球を作っている可能性があり捕獲が容易になることがります。巣を失った蜜蜂が夜中に移動するのおそらく無いので焦らなくても翌日で大丈夫。
今回私がそのやり方でした。
蜂球を見つけたら「7」の作業を行う。
気をつけること
- お墓に営巣しているからといって勝手に作業をしないこと:お墓を管理している方へ要確認
- 蜜蜂に刺されないよう注意: 防護服とゴム手袋を必ず着用しましょう。
- 女王蜂を保護する: 巣板や蜜蜂を扱う際には、女王蜂を傷つけないよう慎重に作業してください。
- 周囲への配慮: 作業前に周囲の方へ説明し、理解を得ておくことが大切です。
保護の意義
自然環境の中で日本蜜蜂が果たす役割は非常に重要です。彼らは植物の受粉を助けるだけでなく、私たちに貴重な蜂蜜を提供してくれます。
お墓という特殊な場所から蜜蜂を保護する作業は大変ですが、蜜蜂の命を救うだけでなく、生態系を守る一歩でもあります。
駆除されてしまうくらいなら、逃去覚悟で捕獲することを選ぶことで環境保護にもつながってくるので、失敗を恐れずに挑戦することをおすすめします。
最後に
お墓で発見した日本蜜蜂の群れを保護するのは、手間と時間がかかる作業です。
しかし、その過程で得られる知識や経験は、養蜂家として大きな成長につながります。
今回の記事が、同じような状況で悩む方の参考になれば幸いです。
「週末ファーム」では、今後も養蜂に関する情報や日本蜜蜂の魅力を発信していきますので、お楽しみ下さい♪
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